「結局、社長は何がしたいんですか?」と聞かれたときのホンネ

この問いを周囲から何回も聞かれてきました。そして自分自身でも問いかけてきました。他社の組織づくりのお手伝いをさせていただきながら、社員が経営者に問う場面を何度もみてきました。経営者でなくたって、自分がリーダー的な立場で何かを決めないといけないときに、部下や周囲から聞かれたことがあるのではないでしょうか。

これは正しい問いかけで、会社のことを考え抜いているのは経営者だし、経営者の仕事は意思決定をすることです。確かに経営者の価値観や感情によって、組織も事業も大きく変わっていくことは間違いありません。部下や周囲の方から積極的に問いかけていただくことはありがたいことです。

自分で意思決定をする責任と周囲への感謝があるのが大前提で、あえて問いを投げかけさせてもらうと、「わからないものはわからない」と言うことはいけないことなのでしょうか。最終的には自分で意思決定するけど、わからないものはわからないまま置きつつ、一緒に考えていくという可能性を探れないのでしょうか。

正直に言うと、お恥ずかしながら僕はわからないことだらけです。明確にやりたいことがあって起業したわけでもないし、目の前の仕事に取り組んでいるうちに、ボンヤリとやりたいことの輪郭がみつかってきましたが、それでもわからないことはたくさんあります。唯一、わかっているのは、わからない状態はこのまま続いていくだろうということです。

わからないものはわからないものとして「x」と置いてみる。

最近、中学校の数学から勉強をやり直しているのですが、数学では「x」とか「y」とか記号が出てきます。数学の世界では、わからないものをわからないものとして一旦「x」と置くカルチャーがあります。そして方程式によって「x」を導きだそうとします。

例えば、2x÷3=6というような方程式をつくることで、xの答えを導き出すことができます。わからないものがわからなくても、このように関係性や規則性を見出すことによって解をみつけることができます。もちろん現実の世界は、簡単に方程式にあらわせるものではありません。ただ世の中には一定の関係性や規則性が存在していて、それに当てはめて考えることで、才能がなくても機械的に答えを出すことができることもあります。

私にはダイエットの才能も、継続する才能もありませんが、本や人の話を聞いて規則性を見出して実践することで、継続して減量することができています。決して無意識に痩せてしまうような素質や才能を持っている訳ではなく、凡人が作為的に取り組んできたことです。

経営者がある時期に筋トレやダイエットにハマるという話を聞きますが、それは自分が世界を変える才能を持った唯一無二な存在ではなく、なんでもないただの凡人であることを気づく体験なのかもしれません。凡人であることは必ずし悪いことではなく、凡人だと気づいたことで過去の歴史や世界中の方から学ぼうとする好奇心が芽生えます。才能にこだわっているときよりも、自分の世界が広がることでしょう。

一緒にロジックを考えて、仮説検証してみる。

僕が接してきた経営者の方々は、ビジョナリーではありますが、未来を見通せる予言者ではありません。同じひとりの人間で、わからない中で決めて続けていらっしゃいます。決断する経験を積み重ねることにより勘所がわかったり、最終的には主観でエイヤーで決める場面はあると思いますが、わからないものはわからないのです。

rebornの組織づくりで経営者の方と接するときは、無理に答えを求めないようにしています。無理に答えをつくったところで、結局あとでまた答えが変わってしまう可能性があるからです。それまでやってきた施策がゼロからやり直しになったらもったいないですよね。

わからないことはわからないものとして「x」と置いてみる。どのようにロジックを組めば「x」を導き出せるのかを一緒に考える。x=y×zのように他にわからないことがあっても、仮説を置いて具体的に検証してみる(代入してみる)メンバーが実践してくれた事実(ファクト)から、点と点が線につながって、わかる!という瞬間がありますが、まさにロジックがつながって「x」を導き出せた瞬間です。

組織のリーダーじゃなくても、どんな立場でも、人は人を導けるし、組織に多大な貢献をすることができる。自分の言動ひとつで、その組織を良い方向に持っていくことができる。(中略)メンバーは自分の行動ひとつで、組織に多大な影響を与える力を持っている。この立場になって、それが初めてわかったことです。そして「仲間と一緒に組織をつくる」醍醐味というのは、まさにこれだと思うのです。(#面白法人カヤック社長日記 No.38/リーダーじゃない人に向けて書いたリーダー論。

最終的な意思決定するのは責任者ですが、意思決定にいたるまでのファクトやロジックには、いろんなメンバーの方々の言動が関係しています。「結局、社長は何がしたいか」を委ねるのではなく、「自分たちはこうしたい」を組み込むことで意思決定を変えていきませんか。

Posted by:ハブチン

1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス『reborn』を提供している。 Omsubi Inc. Founder and CEO Akihiro is the Founder and CEO of Omsubi Inc. Born in Osaka Japan in 1986. Joined the Japanese recruitment agency named Pasona Career. Designed his new career as a facilitator of "Ideason" and "Hackason" who embodies ideas in a short time, while engaged in career support of job changers, recruiting new staffs and launching new business in the company. After left Pasona Career, founded a relationship design company named Omsubi Inc. in April of 2016. Providing the organizational innovation service "reborn" for companies wanting to change the organization.